ワンポイント靖国

靖国についてそのうち書くといいながら、約束を果たせていないので、つなぎに、そのとき触れようと思っていたネタを先出ししておく。

上のリンク先は日本の過去の侵略行為に対する謝罪を持ち出すのが中韓外交カードのひとつで、それがもう無効なのだということを伝えるために象徴的に小泉首相靖国に参拝しているのではないかという趣旨のことを書いている。

確かに外交カードのひとつなんだろうし、そろそろ無効だというのもわからなくないが、それを伝えるのに靖国を使うのは無駄な遠回りどころか逆効果以外のなにものでもないと思う。そういうことはわざわざ表明するものではなく個々の外交交渉の中で既成事実にしていくものだろうし、仮に伝えるとしてもいちばんいいのは「無効です」「ああ、そうですか」と理解してくれることだろうから、火に油を注ぐことがわかっている靖国を持ち出す理由はないだろう。

靖国外交問題として持ち上がったのは1978年のA級戦犯合祀以降で、それ以前は首相が参拝しても中国、韓国は黙認していたわけであり、靖国に関する彼らの批判の重点は過去の侵略行為そのものではなく、その歴史認識にあるのは明らかだ(個人的にはA級戦犯以外に靖国はいくつかの問題があってそちらの方が重要だと思うけど、それは本論にとっておく)。靖国参拝は直接的には日中戦争から太平洋戦争につながるあたりの歴史認識を変更するということを伝えていることになるので、それで過去の侵略行為に関する謝罪外交(というものがあったとして)の終焉を告げているつもりだったら、とんだ見当違いだろう。

この議論でおもしろいと思うのは、一見(少なくとも外交戦略という面からは)非合理であるような行動から合理的なものを読み取ろうとしているところで、そういえば内田樹さんも別の角度から合理的な読みをしようとしていた。

いろいろな人にさまざまな読みを誘うというのはそれだけ参拝がミステリアスな行為だからだろう。神秘の国日本。わかるかなぁ〜!!、わかんねぇだろうなぁ!!