古畑 VS イチロウ
「キビシイ!!」とかいってももう誰もわからないかもしれないが、イチロウが古畑に出演した回をみた。イチロウの演技は野球のプレイと同様自然体の堂に入ったものだったが、三谷幸喜の脚本はいまひとつだったなと思う。殺人の動機が弱いし、謎解きもほとんどない。その前の石坂浩二と藤原竜也の回がすばらしかったものだからなおさらそう感じる。三谷幸喜はシチュエーションコメディーのように多少の穴が許されるものをたくみな概算法でまとめあげることには長けているのだけど、ミステリーのように寸分の狂いもなくはめこむ計算力は資質として持っていないのだと思う。まだ松嶋菜々子の最終話はみてないが、はたしてどうだろうか。
それよりぼくが評価したいのは年末にNHKで放映されていた伊東四朗主演「名探偵 赤富士鷹」だ。アガサ・クリスティー作品の翻案なので、ミステリーの部分のすばらしさはクリスティーに帰せられるべきだけど、見事に舞台を昭和初期の日本に置き換えた手際と、魅力的な人物の造型がよかった。イチロウもいいけどシロウもいい。「つん、つくつくつくつん」。