政教分離

WYさんどうも。コメント欄だと書きにくいのでエントリーをあらたに起こすことにします。

「国、及びその機関」と、その構成員を意図的に混同するのはどうかと思います。

戦前に天皇機関説というのがあったように首相機関説もとれなくないと思いますが、ここではそこまで主張するつもりはありません。それで、「少なくとも立法意志に反した」と書いたわけです。憲法は一般法と異なり、条文だけでなく、どのような意図のもとに制定されたかという立法意志が尊重されます。憲法が制定されたときの経緯からすれば、国家神道の中枢であり、戦争遂行の精神的支柱だった靖国神社との関係は特に慎重さが要求されるでしょう。

二十条一項、二項の信教の自由とのからみもありますが、国家公務員が政治的なビラを配って国家公務員法違反で逮捕されたという出来事とのバランスを考えれば、首相たるもの、自己の信教の自由より政教分離の原則を優先すべきだということです(なお、一般論として信教の自由より政教分離の原則を優先すべきだという主張も言外に含みます)。

ただし、ビラ配りの方は、宗教でなく政治なので、憲法でいえば該当しそうなのは15条二項ですね。

すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

そういう意味で、参照している条文が異なるという批判はありえます。

ただ、首相も公務員ですから、こちらの条文を参拝にあてはめて、靖国神社という特定の宗教団体のみに奉仕しているという批判もできそうです。

東京と大阪の高裁で判断が分れたように実際の憲法解釈上はいずれにせよ微妙な問題だと思います。先のエントリーでは憲法判断ではなく国家公務員法で規定されている政治活動禁止とのバランスを問題にしました。

靖国については近々、総決算的なことを書こうと思うので、またご意見あればお願いします。