官邸に出した意見その2

イラク問題に関する首相のインタビューを拝聴しました。ようやく公に発言されたこと自体は評価しますが、内容については深い失望を禁じえません。欺瞞といって悪ければ、的確でない表現が数々ありました。まず、「日本としては、今まで国際協調の下に平和的解決を目指し、独自の外交努力を続けてまいりました」という表現ですが、努力はその通りですが、それは平和解決のためではなく、米国の武力行使に対する支持をとりつけるための努力でした。米国の意図が査察の遂行による平和的解決にはなく武力行使そのものが目的だというのは、ブッシュ大統領イラクに対する最終要求が、本来の目的であるはずの武装解除ではなく、フセイン大統領の亡命だったことからも明らかだと思われます。

また、武力行使がが国連憲章に違反しないという論拠に国連決議1441等を持ち出されていますが、4項、11項には違反があった場合は安保理に報告すると書かれていますし、13項の「(安保理が)義務違反が続けば同国は重大な結果に直面するであろうと、再三警告してきたことを想起する」というのはあくまで安保理の警告であり、その意思を無視する形で、米国が武力行使するのは許されないと考えます。

報道によれば北朝鮮情勢を背景とした安全保障上の配慮のため、米国を支持すると伝えられていますが、それならそれで、そのことをきちんと国民に説明すべきだと思います。そうすればその決定に対する議論が可能になるでしょうが、上記のような子供だましの詭弁を述べられているようでは、議論は一向に進まず、理解も得られようはずがありません。ぜひご一考をお願いします。