サビ

歌にサビがあるように人の表情にもサビというのがある。

昨夜、ホームへ通じる駅の階段を降りてたら、ちょうどホームまで降りきった女性が、階段の上で見送る男性の方を振り返って、何もいわずにただにこっと笑った。直前まではちょっと寂しげな印象の顔に見えたのだけど、その笑顔は重い雲の間から突然のぞいた太陽のように輝いていたのだった。ぼくの目にはなんだかそれがとてもまぶしくて目を開いていることができなかった。