いえるうちにいうこと

Wars teach us not to love our enemies, but to hate our allies.
W. L. George

「戦争は、敵を愛することでなく、味方を憎むことを教えてくれる」。

確かに戦闘での死者より餓死や病死が多かった60年前のあの戦争ではそうだよな、とうなずいたりしながらも、自分の信念そっちのけで何事も面倒なことから逃げてしまうぼくは、召集令状がくるような状況だったら、逃げる勇気もなく、いやいや出征してしまったような気がする。戦争から逃げ出すことの方がよほど勇気のいることなのだ。それで、躊躇しながらも「敵」を何人か殺したりして、運良く生還できたときには、「戦争には正しい戦争と間違った戦争がある」なんてほざくようになり、反戦運動をする人を意気地無しとののしるようになったのかも知れない。

ぼくにかぎらず実は多くの人がそうなのではないだろうか。60年前のあの戦争でもおそらくは戦争の大義に疑問をもちつつ出征した人が少なからずいただろう。勇気をもって戦場から逃げ出すことのできるのはごく一部の人間だ。そういう勇気に期待しても戦争をなくすことはできない。だから、勇気がなくてもいえるうちにいっておかなくてはいけないのだ。「戦争なんてまっぴらごめんだ」と。