松島

一度もいったことがないが「松島や ああ松島や 松島や」と詠まれた松島はやはりすごいのだろう。「Xや ああXや Xや」のXには4文字の名詞なら何でもはいる。「船橋や ああ船橋船橋や」や「アフリカや ああアフリカや アフリカや」でもいいし、「腹痛や ああ腹痛や 腹痛や」でもいい。だが、このパターンが使えるのは芭蕉の人生のみならず俳句の歴史の中でただ一度だけだ。芭蕉はそれを意識しながら、確信をもって「松島」を選んだのだと思う。